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その利回りはほんとうですか?……

表面利回りとは何か?

 表面利回りとは年間総収入÷総事業費のことを指します。これは賃貸住宅事業の健全性・安全性をチェックするのに一番簡単なバロメーターです。しかしこれは確定利回りではなく予想利回りなので決して勘違いしてはいけません。高ければより安全、低ければより危険であると言うことにはなりますがあくまで予想なのです。自己資金であれ借入金であれ事業性を確認するための最も基本的な指標です。

表面利回りは約束事ではない

 業者が提示PRしている表面利回りとはあくまで業者が勝手に想定した目安です。この利回りを決して最初から約束・保証している訳ではなくその通り行かなくても誰も文句は言えません…即ち預貯金金利の利回りとは全く異なる性格のものだと再認識しなくてはなりません。こんな筈じゃなかったと後でぼやいたり破綻したりしても全ては自己責任となるので慎重かつ十二分に検討しなくてはなりません。

自分でできる表面利回り計算…誰でもできる簡単チェック法

○表面利回り=年間総収入÷総事業費   
表面利回りは0.XYZ…と言う数字が出ますので即ちXは十位、Yは一位、Zは小数点第一位となります。計算結果が0.11と出れば表面利回りが11%、0.085と出れば8.5%と言うことになります。
○年間総収入=家賃・共益費・駐車場料金・礼金など年間収入の総額
○総事業費=建築工事費(外構工事費・特殊基礎工事含む)・設計監理費・地質調査費用・電波障害対策  費用・条例指導要綱等手続き費用・許認可申請手数料・水道市納金・不動産取得税・登記費用・火災保険料一括払い費用(当初5年分)・融資手数料(借入あるとき)・工事中支払利息(借入あるとき)・工事中土地固定資産税・解体工事費用(解体あるとき)・立退き費用(立退きあるとき)・消費税など事業を始めるのにかかるこれら一切の費用(建築工事費・諸経費の全てをまとめた金額)の総額 
※この金額を正直に説明しない業者は不誠実な悪意ある相手であることが明白なので警戒してください。大きな会社・上場している会社・TVコマーシャルしている会社などならそんなことは絶対なく安心と言う訳でもありません。過去を振り返ればそう言った会社でも顧客軽視の問題を起こしています。                                                  

当社最近事例の表面利回り

 アベノミクス開始以来RC造・S造の建築工事費が1.5倍~1.6倍位に跳ね上がりました。また消費税が1989年に3%で導入され段階的に5%(1997年)・8%(2014年)・10%(2019年)と上がってきました。また建築規制強化でコスト増が止まりません。家賃はその間あまり上がっておらず、また家賃が非課税となっている為上がってきた消費税も家賃には反映されることがないので表面利回りが大きく低下し、最近では約5.5~7.5%(名古屋市内/当社値)位になっています。高い業者にかからなければ以前迄(2010年位迄)は10%越え(同)が普通でしたが建築工事費高騰と消費税アップで利回りが低下しました。

5%前後以下の表面利回りは危険と隣合わせ

 5%前後の表面利回りならば固定資産税・都市計画税/管理費/業務代行費/火災保険料/維持修繕費/税金/借入金返済等を引いた実質利回りはもっと下がることになります。空室拡大・家賃下落が発生し長期化すればさらに利回りダウンが拡大します。殆ど借入金ならば借入金利が上げってくればマイナスの影響はさらに拡大してきます。表面利回りはあくまで必要経費などを引く前の予想収入に対する利回りなので現実の利回りではありません。下手をすればマイナス利回りとなり返済の為持ち出しになります。

賃貸住宅の表面利回りを上げる方法

 分子の家賃収入を相場無視で上げる方法は禁じ手で分母の初期費用を圧縮するのが正攻法です。本来賃貸住宅づくりに全然必要ないものをばっさりと削ぎ落とすことが大事です。純粋な建築工事費・設計監理費以外のもの(建築以外の存在…ディベロッパー・ブローカー・サブリース/借上げ上乗せコスト)を消去すれば圧縮することが可能となります。昔からこれらの不必要な存在が世間で暗躍しています。これらのぜい肉を削ぎ落とさず建築コストを下げるためだけに安普請でつくるのは最悪の選択肢です。

ごまかしの多い表面利回り…要注意

 業者の言う表面利回りを何も疑わずに額面通りに真に受けていませんか?分子の年間総収入について家賃収入の相場を逸脱し高く吊上げたり(特に投資不動産に目立つ)、分母である初期費用の真の建築工事費・諸経費等を正直に見せなければ表面利回りの数字は簡単に上げられます。最初の説明になかった費用が後から繰り出してきても困ります…後出しジャンケンされるのは危険です。最初の金額について当然かかってくる費用を正直に出さずごまかされたらそんな表面利回りなど何の意味も成しません。
 建築工事費(消費税込)のみを総事業費として分母にし年間総収入(分子)を割ってこれを表面利回りとして説明している事業計画書を現実に見ました。またその建築工事費も杭打ち工事・外構工事などは別途工事として建築工事費から外す手口も昔から多く見受けます。あり得ない貸し出し金利で剰余金を多く見せているケースも頻繁に行われています。建物を建てれば不動産取得税がかかりますがこれを説明せず隠ぺいしているケースもあります。これらは実にオーナーを馬鹿にした手口の事業計画書です。
 ハウスメーカー・マンション/アパート建設業者等の説明・事業計画書を決して鵜呑みにしてはいけません。この広さ・間取り・家賃で本当に長期的に入居者が入るのかと言う計画内容は勿論のこと、出された事業計画書に嘘・偽りはないか業者の息のかからぬ中立立場である事情通の第三者に見てもらうべきです。猿芝居のような専門家を呼んでの誘導セミナーが特に要注意なのも肝に銘じてください。保証があるから安心であると言う誘惑も犠牲者が未だに多く出ていると言う現実をもっと知るべきです。
 ※頭(総事業費)と尻尾(年間総収入)だけ抑えれば簡単に表面利回りを割り出せます。実際よりも剰余金が多く残るようにどんなにうまく事業収支計画書をごまかしてあっても、その利回りが低く危険水域にあるのに剰余金が不自然に多く残っているものはその中身のどこかにごまかしが必ず潜んでいます。この方法を使うことで初心者でもそれが嘘であり危険であることを簡単に見破ることができます。
表面利回りの計算法は自分でできる表面利回りの計算のコーナーをご覧ください。
 利回りは物件に健全性があってこそ不健全な物件は利回りに関わらず失敗する

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