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建築業界見晴台 工事単価下げ圧力が始まったか-その1
2021-06-30
日経新聞(6月17日朝刊)…中部とコロナ(2年目の試練) の記事によると建設業では高い水準で推移していた施工単価が下落し始めたとの記事が載っていました。実例で取り上げられていたのはマンションのコンクリート型枠工事をしている会社の現状です。これまで鉄筋工事と共に工事価格上昇をリードしてきた大きな要因の業種です。それが仕事をもらっている建設会社から値下げ要求をされてきているとのことです。この数年間は職人不足と言う理由で建設会社に一方的に値上げをし続けてきました。
しかしここへきてその流れが変わってきたと言うことでしょう。リーマンショック以降建設業では仕事量が減り続けてきたため建設業従事者がどんどん減ってきていました。その状態の建設業界へこれまでオリンピック向け建設需要に加え政府によって煽られた設備投資・不動産投資・公共投資・住宅建設などで一気に需要が高められたので深刻な人出不足状態が続いていました。そのため建築工事費の単価がこれまで上昇の一途を辿ってきました。単価が上昇前の1.5~1.6倍くらいになったと思います。
人出不足が引き金になった建築工事単価の上昇でしたのでなかなか終息せずこの数年間高止まりしたままでした。 また資源の高騰も同時に起こっていたものもありましたのでなおさら鎮静化しにくい状況でもありました。しかし昨年から続いているコロナ感染の拡大で世の中の事情が一変してしまいました。オリンピック・外国人消費などを当て込んだホテル・商業施設などの建設が一気に蒸発して仕事がなくなった事業者が少なくなった仕事に流れ込み受注を巡る価格競争が激しくなってきたようです。
仕事量の減少は建築工事費の鎮静化から下落への大きな要因になりますが片や一部の資源の高騰や最近起きたアメリカ発のウッドショックなどもありますので両者の綱引きがしばらく続くでしょう。しかし市場経済下では需要と供給のバランスで価格が決まってくるのが大原則です。如何に政治的・恣意的に資源価格を吊上げたり価格誘導したりして仕掛けてもこの大原則に打ち勝つのは容易ならぬことです。20世紀末のバブルとその後のバブル崩壊による経済の長期低迷を振り返れば歴然としています。