ブログー2024年
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始まった国内建設需要低迷
2024-11-30
11月2日(土)の日経新聞朝刊に鉄鋼・木材・化学製品など主要な産業資材12品目のうち10~12月に値下りを見込むものが6割弱、値上がりするものがゼロであるとの記事が掲載されました。産業素材価格の企業間取引価格指数は消費者物価指数の先行指標になり景気動向や金融政策判断に重要な役割になるとのこと。建設や製造業で幅広く使う鉄鋼が10月に入り主要な3品目全てで1年ぶりに流通価格が下落しており、東京製鉄は10月契約分でH型鋼・異形棒鋼・鋼板など全商品の販売価格を約10%引き下げた。
産業資材の値上がりが止まったのは二つの理由があるとのこと…一つはこれまでの値上がりによる工事費高騰が建設需要を冷やしてしまい国内建設需要が低迷していること、もう一つは急激な円安に一旦は歯止めがかかり輸入物価指数が低下していることです。加えて中国経済冷え込みで鉄鋼製品等の中国製品が安く輸出されていることも大きく影響していると思います。資材高騰に急ブレーキがかかってきたが今後は人手不足などによる人件費上昇を理由とした値上げが続くかと言うことが注目されます。
価格高騰が続いてきた建築工事は資金に余裕のある個人や企業の発注に偏ってきています。失われた20年(30年)と言われた後で近年旺盛だった企業の設備投資も新築を止め増改築・リノベーションに変更するなど様相が変化してきています。また収益事業についても建設費だけが高騰し収益である家賃等が追随できないので採算合わず銀行融資も付きません…かと言って家賃等を払う側の状況を無視し一方的な値上げをすれば行き詰まります。どこかで調整が起きなければ冷え込みがひどくなって行きます。
収益事業として一般の人に最も身近な賃貸住宅も近年の建築費高騰で新築・建替えをする地主さんがめっきりいなくなりました。最近建っているのは投資系か量産メーカー系の賃貸住宅が殆どで、普通の物件を建てる地主さんは沈黙しています。一つには事業性悪化で銀行融資が付かないこと、一つは人口減少下の物件供給過剰で意欲が削がれていることからでしょう。しかし建築費高騰の影響で持家派が減り借家派が増える傾向にあります。相場家賃に抑えたまともな賃貸住宅需要が今後高まるでしょう。
