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ブログ−2010年

建築業界見晴台…「この一年を振り返る」

2010-12-31
  今年の夏は毎日のように猛暑日が続き、私の記憶の範囲内でもこれまでで最も暑くて長かった夏ではないかと思います。それに反して建設業界の冷え込みは一段と厳しさを増した一年だったと思います。一昨年のリーマンショック以降冷え込んだままの日本経済下で民需である民間企業・個人の設備/建設投資意欲は未だ確たる回復の兆しを感じられません。建設業界のもう一つの頼みの綱である官需も工事請負総額減少・工事単価大幅下落が拡がり官民受注共に苦戦を強いられている状況です。
 水面下で倒産・廃業が静かに拡がってきているとは言え未だ建設業界は窮地の市場規模縮小のまま不気味な静けさを保っています。これは08年3月施行の政府緊急保証制度と09年12月施行の中小企業金融円滑化法のお陰だとも言われています。これは何も有効な手立てを打てない無能無策な政府による単なる延命措置だと言われています。両延命措置とも11年3月の期限切れを間近に迎えています。少々の期限延長法案が出るやも知れませんが、抜本的政策を打てない以上自己資本の枯渇した企業から消滅が拡がって行きます。生き残る策としては官製需要頼みではなく脱下請仕事の発想へと方向転換することが必要なのです。その為には高い技術力を磨き自らマーケティングのできる会社を目指すこと以外に方法はありません。ここで何とか踏ん張らねば大量の失業者を吐き出す結果となります。
 もとより建築設計業界は下請依存の事業所が多く、元請である工務店・建設会社等の仕事自体が激減している訳ですから下請の建築設計事務所は仕事もなく干上がってしまうので一溜りもありません。ここ1〜2年の間にかなりの建築設計事務所が衰退し淘汰されてきていると聞き及んでいます。さらに官製需要依存の大手建築設計事務所は公共建築インフラ過充足・財源難による仕事量減少・設計監理料下落の直撃を受け衰退してきているところが増えているようで、どこかガソリンスタンド業界に似てきているようにも思えます。もはや建築設計業界も工務店・建設会社等の下請依存から脱却し建築士法の原点に立ち返った経営へと舵を切る必要性があるでしょう。その為には工務店・建設会社同様高い技術力とマーケティング能力を身に付けることが必要不可欠になって行くでしょう。
 世界中どこの国においても建設業(土木建築)の役割なくしては国家の形成・維持は成り立ちません。また関連業界も含め多くの労働者の働く場も提供してきていますので、建設業界の弱体化は是非とも食い止めるべきです。特に我国では高度経済成長期に造ってきた社会インフラが後10〜15年も経てば集中的に更新の必要に迫られます。今のままの財政破綻状況の国・地方自治体ではそのときの整備建設事業費が公費によって捻出できるとはとても思えませんので、その時まで建設業界が生き残り高い技術力を維持しているだけではその国難は乗り切れないでしょう。限られた財源を活かすことのできる提案力が出せるだけの知恵と工夫が我々建設業界にとっても必要となってくるでしょう。

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