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ブログ−2010年

バルコニーとベランダ

2010-12-03
 マンションの主に南側に出っ張っている外に出られるスペース(エアコン置場・洗濯物干場等に利用されている)を建築業界では通常バルコニーと呼んでいますが、建築関係の図面や図書を見るとやはりバルコニー表示が圧倒的に多く、これまで何の疑いも持たずにバルコニーであると信じてきました。ところがこれを不動産仲介業の世界ではベランダと呼んでいることが多いのです。しかし同じ不動産業界の分譲マンションの広告チラシにはバルコニーと書いてあります。また人によってバルコニーと言ってみたりベランダと言ってみたり一体どちらがほんとうなのか判らなくなってしまいます。
 さて、一階の外周りにある手摺のない露台等をテラスと呼んでいます。このテラスに屋根が付いていればベランダと呼ぶべきだと言う意見もありますが、世間一般では屋根や庇が付いていても区別せずまとめてテラスと呼んでいます。テラス(terrace)とは露台・台地・盛土の意味であり本来の地面よりやや高くなっている状態であり、コンクリート・煉瓦等で敷き詰めることが多いです。テラスは地面上にありますが、それに比してバルコニー・ベランダは地上より離れ建物本体より突き出して付いています。決定的違いはこの部分だと思いますので屋根の有無に拘らずこれで区別ができます。
 バルコニー(balcony)はギリシア語のバレオー(balleo)が語原であると言われ、劇場建築の二階席にある張出座席や西洋建築の室の戸外への延長として張り出された屋根のない手摺のある一種の露台のことを言っているようです。ベランダ(veranda)はヒンディー語の柱廊玄関の意(barandah)であると言われており、家の外周りを巡る縁側・廊下・回廊と言う意味であり、日本建築では下屋とでも言いましょうか屋根があることが定義のようです。何れにせよバルコニー・ベランダとも日本語化して使われている和製外来語ですので、本来の意味から遊離し日本語として使われている言葉です。
 マンションに付いている出っ張り部分について考察すれば、上部にあるのは上下に連続する同様な出っ張りですから建築的に言えば決して屋根ではありません。と言うことはベランダではなくバルコニーと呼ぶのがふさわしいのではないのでしょうか。最上階にあるのも建築的に言えば屋根ではなく庇になりますから、この考え方に矛盾は生じません。また形状からもベランダの語原の下屋と言うイメージにはどこか似つかわしくありません。和製外来語ですからどのように私達日本人が使おうと自由なのですが、語原を尊重して使うならばそろそろ交通整理がされるとすっきりします。

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