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失敗しない賃貸住宅づくり

賃貸住宅づくりの基本

【1】差別化・個性化を図って基本的商品力(居住性・快適性)の高いものを目指しつくる。
 築年数・構造・間取り・住み易さ・広さ・家賃・立地条件等を問わなければ色々な賃貸住宅が一杯あります。その中で気に入ってもらうにはどうしたらよいでしょうか。まず立地条件が良いことが大前提となりますが、物件そのものとしても近隣の競合物件より魅力がなくてはなりません。即ち他物件とは差別化されより個性的なつくりであることが肝要です。その為に他の大同小異の規格量産物件とははっきり決別された物件であることが必要です。それに基本的商品力(居住性・快適性)としての住み易さが備わっていることが必要不可欠言えます。不思議な話ですが少々立地が悪くても、この基本的商品力(居住性・快適性)を満たしたうえで差別化・個性化をうまく図った魅力的人気物件が昔から全国各地にあります。逆に立地条件が良いのにこれらが具備していないため苦戦しているものも多いのです。
 
【2】新築当初から維持修繕費のあまりかからない構造・設備・デザイン・仕上げにする。
 どんなに立派な賃貸住宅ができたとしても、維持管理に手間の掛かる物件を作っては長い年月で大きな費用の出費を伴い収支計算を悪化させます。新築時少々値打ちに工事費が上がったとしても、そんな物件を造っては経年の内に多額の維持修繕費が掛かり致命的に事業の継続を困難にしてしまいます。例えば新築当初に外装仕上げでペンキ吹付けが安かったとしても5〜6年に一回は塗装吹替えが必要なのです。長期の維持修繕費を考えれば当初割高と思っていたタイル張りのほうがペンキ吹付けよりも結果的にコストが安くなってしまいます。仕上げだけでなく造り方そのものにも同じことが言え構造・デザイン・仕様など全体にも共通する事実です。これに似た内容の話は他にも色々あります。この問題は意外に見落としがちなので最初に構造・デザイン・仕様を決めるときには特に注意する必要があります。
 
【3】オーナーさん・設計者の自己満足で建てずにあくまで市場(入居者)本位でつくる。
 世間ではオーナーさんの趣味・趣向で賃貸住宅を作ろうとするケースが多々あります。また自称“建築家”を自負するおめでたい設計士にかかり押しつけの自己満足デザインに固執するものを作られる場合もあります。よくお考えください…入居してその建物に居住するのは決してオーナーさんや設計者ではありません。部屋決めして入居するのはお部屋探しをしている借家人の人々なのを忘れないでください。自らの趣味・趣向/自己満足でなく入居者ニーズに合ったものを作らなければ入居者が納得し入居する筈もありません。これは賃貸住宅を売れる(入居してもらえる)物件にする事が必要だと言うことです。全ての建築ジャンルの中で賃貸住宅が最もマーケティング意識の要る商品建築だとも言えます。安定した事業継続を達成するには売れる(入居してもらえる)ものを作らねばならないと言うことなのです。
 
【4】一過性のデザイナーズマンションや規格物ではなく普遍的に通用するデザインとする。
 デザイナーズ住宅とかデザイナーズマンションとか言う言葉をよく耳にします。じっくり聞いているとデザインが優れていると言う意味ではなく“奇抜な”とか“一風変わった”とか言う意味で使われているのに気付きます。これらは人目を引くので新築当時入居率が良いこともあるのですが、それは住み易さが犠牲になっていることが多く早い段階で入居率が悪くなっている物件が散見できます。日々の生活に取っては奇抜さ・特異さではなく住み易さの方が大切なことなのです。奇抜さ・特異さが流行りに通じることもよくあります。しかし賃貸住宅だけではなくすべての分野で言えることなのですが流行りは何れ廃る運命にあるのです。長期事業である賃貸住宅のつくりが流行りに乗って廃っては困るのです。
 また規格物は賃貸住宅量産メーカーが建物を規格化し、似たようなタイプを量産することで
より多くの利益を上げることに事業目的があります。これはメーカー都合の自社利益優先の話なのでオーナーさんにとっては実に怖い話で、“供給過剰・人口減少となっている今日では他に似たような物件がどこにでもある賃貸住宅で生き残るのは難しい”…普通に考えればこれくらいはお察しがつくと思います。また同時に今日の供給過剰をもたらした主犯格が量産メーカーであることも間違いありません。量産メーカーなら安心と言う人もいますが冷静に考えれば同様な物件が他にも一杯あることを忘れてはいけません。普遍的に通用するここにしかないと言う賃貸住宅(オンリーワン賃貸住宅)でなくては生き残れません。
 
【5】設計監理と工事は切離し、工事は競争入札で直接建設会社に発注しコスト低減を図る。
 建築工事費を安く上げる良い方法は直接建設会社に工事を請け負ってもらうことです。アパート/マンション量産業者・ブローカー・不動産業者等に依頼すれば建設コストに彼等のマージンが結局上乗せされその分建築工事費が高くなります。それを避けるためには設計監理を信頼できる建築設計事務所に依頼し、工事は複数の建設会社から見積もりを徴収して比較検討した上で施工業者を決定するやり方(設計施工分離発注法)が最も賢明な方法だと言えます。実際に建設現場で仕事をしているのはその地域の建設会社・工務店・職人さん達なのです。その人々に直接仕事を発注する方が気持ち良く仕事をしてもらえ引いてはコストダウンにも繋がることにもなり、その方法として設計施工分離発注法があるのです。
 また建設会社等には開発営業して設計施工で仕事を丸ごと取込むスタイルと設計事務所・官公庁等から見積図面をもらい競争入札に参加し純粋に技術力/価格で競い合い施工の仕事を受注するスタイルの二通りの種類があります。前者の場合には開発経費(開発部門のコスト…開発部門の給与等の固定費&間接経費・宣伝広告費等)を請け負い金額に載せてきますのでその分割高にならざるを得ません。また必然施主の立場ではなく工事で儲かる仕事になるような設計をしてきます。反面後者の場合はこの開発経費を載せる必要がないので競争入札に参加して技術力/価格で存分に競うことができ、設計は設計事務所が施主の立場100%で考え設計してくれますので施主にとって一番信頼できる安心な方法だと言えます。 
 

経験者の参考意見を聞く

 賃貸住宅を造った経験のある地主さんは世間に多くいらっしゃいます。アパート/マンション量産業者から様々な話を持ちかけられた場合は実際に量産業者で造ったことのある地主さんから生の体験談をお聞きするのが一番の方法です。嫌な目に遭ったり騙されたりした地主さんが結構いらっしゃるのですが、やはりそのことはあまり触れたくないので意外に話したがりません。親しい間柄の方であれば注意点や裏話を親切に教えてくれる人もいます。今までお会いした地主さんでもベテランの部類に入る経験豊富な方は貴重な体験をいっぱいされています。うまい話については総じて失敗談をお聞きすることができます。今の日本では何故か“うまい話には気をつけろ”と言う格言が忘れられています。残念ながら今の世の中ではこれを忘れて賃貸住宅建設だけではなくうまい話に乗ってひどい目に遭っている人が大勢います。ここは経験者に教えを請うのが一番手っ取り早くできる失敗を未然に防ぐ良い方法です

真実を見極める目を持つ

 経験のある地主さんに意見や話を聞いてもそれが自身で十分理解できなくては意味がありません。当然のことながら人は立場が違えば言うことも変わってきます。人の話で何が真実で何が真実ではないのかを自身で見極められることが重要です。その為には人の話を鵜呑みにしない自らの分析力・判断力を日頃から身に付けておくことが求められます。業者が持ってきた事業収支計画書も加工すればどのようにでもよく見せることもできます。そのまま鵜呑みにし信じて後でひどい目に遭った地主さんも実際にいらっしゃいます。また長期の家賃保証・入居保証の話に乗って失敗した地主さんもいらっしゃいます。契約する前に賃貸住宅経営の経験者に一言相談してお話を伺うことでこの“恐ろしい失敗”を未然に防ぐことができます。本当に大きい会社やTVでコマーシャルをしている会社ならば全面的に信用して良いのでしょうか?…やはり自身で真実を見極める目を付けなければ恐ろしい将来が待っています。

無理な家賃設定はしない

 高すぎる事業計画書をらしく見せるには家賃を相場より高く吊り上げ無理な設定にするのが一番手っ取り早い方法です。建築工事費を中心とする初期投資額が高ければ家賃を吊り上げ収入を増やしてオーナー・銀行をごまかそうとします。でも家賃には相場がありますのでそれを無視した設定は新築当初から苦戦を強いられることになります。首尾よく新築時満室にできたとしても募集二回目以降は空室が増えるか家賃を下げるかと言う地獄が待ち構えています。それどころか賃貸住宅供給過剰時代の今日では、新築当初からなかなか入居者が入らず設定した家賃を下げざるを得ないケースが跡を絶ちません。当社は有名企業だから融資も絶対に大丈夫だし高い家賃でも取れますと説得される場合もありますが、世の中そんなに甘くはなく融資を断られていると聞き及びます。高い家賃で入居もままならないと言うケースも続発しています。やはり賃貸住宅事業計画は常識の範囲内で考えなくてはならないのです

サブリース・家賃保証に頼るな

 そもそもサブリース・家賃保証などに頼るようでは賃貸住宅経営などやってはいけません…それは事業計画に自信がない証拠だからです。何事も自信のないことはやってはいけません。サブリース・家賃保証契約をすれば収入から十数%を差し引かれ収支は悪化します。入居率が低下すれば一方的に保証家賃を下げられます。また入居率改善の為と称し追加設備や修繕工事もさせられます。業者が窮すれば最期には様々な理由を付け保証を打ち切ってきます。本来賃貸住宅業界にはオーナー・入居者・仲介業者・建設業者・設計業者だけあれば充分です。そこへ量産業者・不動産業者などがサブリース・家賃保証を武器に知識や自信のないオーナーに近づき業績拡大をしてきました。今日家賃は上がらないのに建築工事費だけが高騰し賃貸住宅経営収支が苦しくなってきています。サブリース・家賃保証費用を払えば益々事業収支は悪化します。もうサブリース・家賃保証業者などに支払う余分なお金はありません。

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    昭和56年創業

 

有限会社久里屋設計

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