ブログー2023年
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狭くなった住宅面積
2023-05-31
5月22日付の日経新聞朝刊に「縮む日本の住宅、欧米より狭く」と言う記事が掲載されていました。長期化する建設費高騰のせいで新築マンションの面積を縮小する動きが拡がっているからとのこと。住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」の利用者調査では2021年度の新築マンションの平均面積が64.7㎡、中古マンションが68.2㎡と2011年度よりも新築で10%、中古で5%狭くなっている。結果今居住のマンションの購入金額と同額予算では同じ広さの新築のマンションが買えなくなっている。
誘導居住面積基準と言うものがあります。これは国が示している豊かな住生活の実現などに必要とされる住宅面積の水準だそうです…都市部の共同住宅か郊外の戸建かと言う種類や、世帯人数とその中に含む子供の年齢などによって面積水準に差はありますが。都市部で夫婦二人と3~5歳の子一人がいる場合は65㎡の基準になっています。この面積は賃貸住宅で言えば2LDKの標準的な面積だと言えます。かろうじて2021年の新築マンションはこの誘導居住面積に対し少し不足しているレベルと言えます。
平均面積の縮小傾向は建設費高騰の影響が大であることは間違いなさそうですが世帯構造の変化が影響している可能性もあるのではないかと思います…単身者や子のいない夫婦、シニア層のマンション購入が増えていることも広くない住宅面積の要因の一つかも知れません。何れにせよ住宅面積が縮小していることに間違いはありません。狭くなったのは分譲マンションだけでなく都会で建っている投資用賃貸マンションもその傾向がはっきり出ていますので狭くて窮屈な新築物件がたくさん増えています。
国土交通省の統計(2022年)によれば持家に限定しても2011年125.5㎡が2021年117.4㎡、借家が2011年50.8㎡が2021年46.9㎡とやはり減少しています。欧米の住宅市場では70~80%が中古住宅、片や日本では20%に過ぎません。日本住宅市場では新築割合が多く工事費高騰の直撃を受けており住宅面積が小さくなっているのでしょう。 2018年時の空家が849万戸、建設費高騰時代これを利用し広い戸建や共同住宅として改修して使い余裕のある住まいを確保するのもよい方策かも知れません。