ブログ−2011年
建築業界見晴台…「この一年を振り返る」 2011年12月30日(金)
その嫌な予感が的中しこの地震は数百年に一度と言われるM9.0規模の巨大地震であり、また想定を遥かに超える大津波が街を浚い多くの人々を呑み込みました。その後も広範囲な東北沿岸沖のプレート全体(南北約500km・東西約200km)で無数の群発地震が長期間発生し続けました。以前から平和ボケと皮肉られていた日本でしたが、自然の驚異に対しての平穏ボケがあったのも否めません。私達が住んでいる日本列島は火山帯の上にあること、北アメリカ・ユーラシア・太平洋・フィりピン海の4プレートが集中する断層すべり地帯であることを今一度思い起こさなくてはなりません。
日本の建築技術は世界有数なレベルだと評価されています。しかし今回は地震の揺れによる建物の倒壊と言うよりは、街ごと津波に浚われると言う被害状況なので、そんな次元の話をしていてもあまり役には立ちません。むしろ都市防災とか国土利用計画とかいったスケールの話です。人が建物を建てて住んではいけない地域・場所があると言うことです。公が国費を無駄使いして自然破壊をした上不必要な宅地造成をしてきたので我が国には住める宅地はたくさんあります。建築単体でももともと地盤の悪いところには建築すべきではないと言うことになにか共通するところがあります。
平和ボケ・中流意識ボケ・不公平ボケ・娯楽ボケ・豊かさボケ・赤字国債ボケ〜日本人のボケも様々、中でも政治ボケが日本国を破綻へ向わせていることの方が大津波よりもっと怖いことかも…原発放射能汚染は原子力許認可権を持つ国による人災で、真の責任は東京電力ではなく国にあります。最強権限&利権は持つが責任は殆ど取らぬ国にもはや頼るのではなく、今改めて国民自らが防災意識を持つことが自然災害から身を守る最善の策だと思います。住民自身が津波被害を想定し住む場所を選びかつ迅速な避難行動をしたならば、今回の津波による犠牲者はもっと減らせたでしょう。
久里屋設計界隈散策−その18 日吉神社 2011年12月16日(金)
空に映る虹 2011年12月2日(金)
子供の頃はよく虹を見たような記憶があるのですが、社会人になってからは毎日忙しく働いており、空を見上げる余裕もなくなかなか見る機会もありません。庭の水遣り時を除けば見られる機会も減っているのかも知れません。間が空くと数年間も見られないときもあります。この2日間に計4回も虹を見られ何か良いことでもあるのではと期待しています。21日の虹は名古屋方面でも北方の空に虹が掛かって見えたとの目撃情報を数人の方からもお聞きしました。
虹は赤から紫までの光のスペクトルが並んだ円弧状の気象現象。英語のレインボー(rainbow)は「雨の弓」を意味し、またフランス語ではアルカンシェル(arc-en-ciel)と言い、「空に掛かるアーチ」を意味しています。日本の伝統建築には虹梁(こうりょう)と言う部材があります。これは中央が反り上がって弧状になっている梁のことを指します。きっと語源は虹のように反り上がっていることからきているのでしょう。余談ですが当社の設計する建物もアーチ屋根を多く採用しています。
日本の将来も視界不良となって久しく、この先日本の空に希望の虹が見えることがあるのでしょうか。戦後この小さな島国で一生懸命働き続けてきた日本国民は、莫大な公金(世界経済で見れば巨額資金)を負担し続けてきました。日本国民の努力と汗の結晶であるこの公金が無責任にも無駄使いされ続け、懸けてきた年金すらまともに貰えず社会保障も危うくなってきていると言う世界でも類のないお粗末な国家運営の日本、一体いつになったら公の権限に責任がセットになるのでしょうか?
久里屋設計界隈散策−その17 徳川園 2011年11月18日(金)
久里屋設計界隈散策−その16 天満緑道(水の小径) 2011年11月4日(金)
建設業界見晴台…「深刻化するか建設労働者不足」 2011年10月21日(金)
最近新聞等で見かける記事に建設労働者不足深刻化の話がよく出てきます。その大きな理由は東日本大震災の影響で東北や北関東を中心に建物の補修需要が急増したうえ、がれき処理にも多くの人員が割かれているためだと説明しています。この余波が大都市圏に波及し鉄筋工や型枠大工等の職人不足が工賃の上昇を呼び、東京や関西では鉄筋工事などの単価が震災前よりも約一割上昇、全国的に建設費の上昇や工事遅れに繋がる可能性が出てきているとのこと。
2008年9月にアメリカで起きたリーマンショック以降、東日本大地震が起きるまでは官庁工事・民間工事ともに需要減による大きな冷え込みが続いていました。そのため労務費や建設資材の単価が抑制された状態が拡がっていました。限界を超える厳しい状態が続きゼネコンの下請企業からは単価の値上げ要請の声が強まる反面、それでも受注して企業の存続を図らねばならないと言う相反する矛盾をはらんだ複雑な展開をしてきました。
ここへきてこの大震災の復興工事がどのような影響を与えて行くのか?長年建設業界は労働者の待遇改善が進まず、若年労働者も育たず中高年の労働力に依存していると言う特異な状況下にあり、また中高年労働者が遠方の被災地に移動するとも思えません。いましばらくは報道にあるような影響があるかとは思いますが、それよりももっと深刻な問題は高齢化した職人が仕事を止め始めていると言うことです。新聞等のそんな単純な読みが当たっているかどうかは分かりません。
ここのところ、一ドル70円代の超円高水準が続いています。産業空洞化・工場海外移転は益々拡がろうとしています。ユーロ圏ではギリシャの債務超過問題が深刻の度合いを増してきており、世界経済の足を引っ張っています。またタイの洪水被害は長期化の様相で製造業を中心に深刻な影響もでてきました。日本人の働く機会が一段と弱まってきています。報道にあるような震災復興による建設業界の一面的な状況判断だけでこの先を予見するのはなかなか難しいのではないでしょうか。
屋根に「水」文字 2011年10月7日(金)
これが何を意味するものか当時はあまり関心もなく判りませんでした。当時はひょっとして水子供養を意味するのかなとも思っていましたし、また或いは大雨・洪水などの水害から建物を守る意味かくらいに思っていました。念のために調べてみると懸魚の代わりにこの「水」文字を描くことにより水の神通力により火災から建物を守る火伏せのまじないの意味を成していたようです。
懸魚とは社寺建築には昔から付いているお馴染みのものですが、この懸魚は水に係りのある魚の形をした飾りであり、これを屋根に懸けることによって火伏せのまじないとしたのがそもそもの始まりであるようです。社寺建築の様式を庶民が使うわけにも行かずそれを模して「水」文字を懸けるように江戸時代末期の頃庶民に拡がり、明治時代にそれが定着したようです。
このような地域・地方の景観を表出する様々な伝統・風習・文化を我が国は戦後の経済発展至上主義の中で破壊し続けてきました。建築・住宅は文化・伝統と深い繋がりがあります。文明の利器と言われる車等と違い、昔から住宅は住宅文化とも呼ばれており文化・伝統と直結しているこのことの理解が著しく欠落しているのが主因だと思います。建築職人や伝統工法技術の衰退・ハウスメーカー・住宅産業の巨大化がこれに拍車をかけてきたのではないかとも考えます。
久里屋設計界隈散策−その15 観音寺 2011年9月23日(金)
賃貸住宅見晴台…「ピンチを迎えたか?入居/家賃保証」 2011年9月9日(金)
大手賃貸住宅メーカー等が水面下でこの保証飛ばしをやっていることはもとより知っていましたが、表立ってこんな話が聞こえてくるのはいよいよ彼らも行き詰まってきたのではと言う気が致します。人口減少の社会情勢下で量産メーカー自らが賃貸住宅供給過剰状態を作って自分で自分の首を絞めてしまった結果、保証して受注すること自体オーナー様を翻弄させるだけでなく、自社が非常に危険にさらされることになってきたと言う訳です。自業自得の顛末といわざるを得ません。
保証契約自体がオーナー様にとって一方的に有利な条件で結ばれることはありえないと言うのはいつもご説明している通りなので、その反面業者側にとっては都合の良いように契約内容を決めてあるケースが多いのではと思います。にもかかわらず、保証をして受注する方法に変化が起きているということはその舞台裏で大変なことが起きてきているのではないかと察せられます。空室が拡大している中、保証が賃貸住宅量産業者自身の経営を圧迫してきているのではと考えられます。
業者側が保証でピンチになってきたと言うのはオーナー様も決して他人事ではありません。保証書も保証している会社がなくなれば只の紙切れです。2年前に倒産した名古屋地区の最大手賃貸住宅メーカーも保証をしていて多くのオーナー様に犠牲者が出ました。これは保証なんかに頼って賃貸住宅を作ることが如何に危険と隣合せかを象徴しています。供給過剰時代の中賃貸住宅経営を如何に成功させるかは、そんな危なげな保証なんかに頼ること以外の方法を取らなくてはなりません。
久里屋設計界隈散策−その14 貴船社 2011年8月26日(金)
久里屋設計界隈散策−その13 薬師寺 2011年8月12日(金)
24時間換気システムを考える 2011年7月29日(金)
そこで平成15年に定められた建築基準法28条の2/1〜3号(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)がシックハウス対策に係わる技術的基準です。これは建築物の居室に使用される建築材料や換気設備に関する規制です。規制対象となる化学物質はクロルピリホス・ホルムアルデヒドの二種類でありクロルピリホスは使用禁止でホルムアルデヒドの方はJIS・JASのF☆☆☆☆は規制対象外ですがそれ以下の等級区分のものを使用する場合は使用量の制限・機械換気設備の設置が必要です。
また対象建材を使わぬ場合でも家具等からの発散があるため原則すべての建築物の居室に機械換気設備の設置を義務付けています。さらに天井裏・小屋裏・床裏・壁・物置のほか、居室に設けられる収納スペース(押入れ・作り付け収納・小屋裏収納・床下収納)等の部分から居室へのホルムアルデヒドの流入についても措置を講ずる必要があります。なお収納スペース等でもドア下のアンダーカット等を設ければ、換気計画上居室と一体化としてみなされ内装仕上げ制限の対象となります。
機密性の高い建築物等では24時間換気で結露の発生が減ると言う副次効果もあります。しかし、もともと居室の換気については、建築基準法28条(居室の採光・及び換気)2項においてきちんとした規制がかかっており、二重の規制ではないかと思います。さらに時間の経過と共に有害物質が減少することもあります。それに建築主の建設費用負担増大もあり、全く健康被害の出ぬ人については割り切れない気持ちにもなります。その上居室使用者が冬季換気による寒さの為換気装置のスイッチを切ってしまうと言う問題もあります。この規則については何かすっきりしないものを感じます。
久里屋設計界隈散策−その12 神蔵寺 2011年7月15日(金)
久里屋設計界隈散策−その11 貴船神社 2011年7月1日(金)
香流から見える山々−その7 猿投山 2011年6月17日(金)
猿投山は三河三大霊峰の筆頭として山嶽信仰・自然信仰の対象とされています。三河三社の一つ式内社猿投神社本社が麓にあり、山頂には分社である東宮・西宮があり、この三つを総称して猿投三社と呼んでいます。御祭神は景行天皇の第一皇子である大碓命(オオウスノミコト…熱田神宮の御祭神日本武尊の双子の兄)で、両側に景行天皇・垂仁天皇をお祀りしてあります。大碓命がこの地方を平定し猿投山に登られた折、途中で毒蛇に噛まれ42歳で崩御し葬られたと伝えられています。
山名の由来は猿投神社の社蔵文書によれば、景行天皇が伊勢国へ赴いた折かわいがっていた猿が不吉なことを行ったので猿を山上から海に投げ捨て、その猿が当山に籠もって住んだとされていることから、“猿投”と呼ばれるようになったとされています。また「サ」は侠を表し「ナギ」は谷・大崩壊を表し、これが転じて「サナゲ」となったと言う説もあるようです。この他にも「サナギ」は古代の製鉄錬所のあった土地を表す言葉であると言う説とかまだ諸説あるようです。
三河高原の西端であり愛知高原国定公園にも含まれていて、山頂には一等三角点が設置され東海自然歩道のルートにもなっています。また山頂付近には天然ツガ林が生息しており貴重な植物学上の資源とのこと。山自体の地質は花崗岩が母岩であり、その一種に黒雲母花崗岩(別名・球状花崗岩/菊石)と言う国指定の天然記念物を見ることもできます。南西麓一体の風化土は良質な陶土で、古代・中世の猿投窯址群である約1300基の窯跡が存在しています。
建築業界見晴台…「東日本大地震以降の動向」 2011年6月3日(金)
この結果建築を予定していた方が資材不足を見越して建築を見合わせたり、また地震後の経済混乱のためとりあえず様子見を決め込んだ方も多いと聞き及んでいます。とりわけ法人(特に自動車を中心とする製造業)は経済混乱の最中先の見通しが難しくなり、設備投資絡みの建築工事に急ブレーキを掛けたところが多いとも言われています。この傾向は新築工事だけではなく営繕工事にまで影響が及んでいるようで、民間工事の案件や見積りが一段と少なくなっている傾向が続いているようです。
もともと今回の地震が起きる前も既に民間建築工事がかなり冷え込んでいる状態でしたから、そこへきてこの有様ですので建築業界の不況にさらに追い討ちを掛けるような状況になってしまっています。少なくなった民間工事の争奪戦は激しさを極め、受注単価は震災特需で上がるどころか地震前の厳しい値段のままのようです。金額ベースでピーク時の半分以下の仕事量になってしまっている建設業の淘汰は今までにも増して一段と拍車が掛かってくると思われます。
しかし設備投資をずっとしないと言う訳には行きません。また次の大地震に備えた耐震化・建替え工事も必要に迫られています。昭和20年代〜30年代の戦後の建築ラッシュの建物がそろそろ解体・建替え時期を迎えつつあると言う時代背景もあります。いつまでも何もしないでじっとしていると言う訳には行きません。続いている建設業者の減少・今後見込まれる建築工事の回復増加は建築費の上昇要因となり得ます。また震災復興の大義名文による消費税・相続税を中心とした大幅増税も今後予想されます。建築する必要性がある方については今正に建築をする時なのかも知れません。
久里屋設計界隈散策−その10 明徳公園 2011年5月20日(金)
久里屋設計界隈散策−その9 藤森神明社 2011年5月6日(金)
香流から見える山々−その6 恵那山 2011年4月22日(金)
恵那山は長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがっている中央アルプス(木曽山脈)最南端の標高が2191mの山で、濃尾平野の各地域からその山容をよく望める美濃の最高峰です。古くは胞山・胞衣山とも書かれまた角度によっては船を伏せたように見えたので船伏山(ふなふせやま)とも呼ばれていました。天照大神がここで降誕され、その胞衣(えな)がこの山に埋められたと吉蘇志略に記載があり山名の由来とされています。日本百名山及び花の百名山に選定されています。
山頂の最高点の南東には、一等三角点・展望台・恵那神社奥宮神社があります。奈良時代に役小角が開山したとも伝えられ、山頂には修験道に関係の深い七社九柱が祀られています。江戸時代中期〜後期に全国で修験道や信仰登山が流行り、恵那山でも第一次恵那講ブームが起きました。1859年(安政6年)に建てられた下広岡の常夜灯にも恵那大権現の名が刻まれています。また北方の富士見台のほぼ中央を1975年(昭和50年)完成の恵那山トンネル(全長8489m)が通じています。
胞山県立自然公園の中心で樹木がよく茂る広い国有林があります。山頂までの途中にはドウダンツツジ・シャクナゲの群落があり、また本州中部の亜高山帯林の西限で、コメツガ・シラベ・アオモリトドマツなども見られます。山頂からは濃尾平野・伊勢湾・御嶽山・日本アルプス・白山・伊吹山・鈴鹿連峰が展望できます。JR中央本線中津川駅から中津川渓谷に沿って中腹の黒井沢までバスが通じ、そこから山頂までは徒歩3時間半です。北山麓には馬籠宿と妻籠宿があります。
これは地震雲だったのか? 2011年4月8日(金)
久里屋設計界隈散策−その8 了玄院 2011年3月25日(金)
平成20年住宅統計調査から分る賃貸住宅動向−その2 2011年3月11日(金)
近年日本国内の犯罪の増加が著しく、住宅防犯の問題が年々重要視されてきています。戸建住宅は勿論のことですが共同住宅については特にお互いに知らない人達が同じ建物に住んでいますので防犯設備の徹底が必要とされています。ピッキング対応シリンダ錠・クレセント破り防止用防犯ガラスも増えてきている現状です。エレベーター内部の設備もドアの一部がガラス張りが全体の25.3%、防犯カメラの設置も全体の22.2%、またこれらの設備以外も含め全く防犯設備のないエレベーターは全体のわずか7.1%しかありません。オートロックのある共同住宅も全体の26.4%にまで増加しています。非木造の賃貸住宅が年々増えているのも遮音性・耐火性・防犯性の点からもうなずけます。
賃貸住宅入居世帯の主な家計の担い手の34歳までの若年層が5年前の調査に引き続き大きく減少してきています。前回調査の635万世帯(借家全体の37%)から565万世帯(同32%)へと70万世帯も減りました。賃貸住宅の75%を占める民営借家に限れば34歳以下の若年層世帯比率は前回の42%(民営借家全体の)から36%へと大きく減少しています。この先このゾーンの中心帯である団塊ジュニア層が年をとると、本格的に若年人口の減少時代に直面します。少子化の進む中で進学・就職の地元志向も顕著であり、住所移転を伴う人口移動率も低下してきています。これらを総合的に捉えれば賃貸住宅市場の需要後退、特に若年層単身者賃貸の需要減少が強まるでしょう。
高齢者世帯(65歳以上の世帯員がいる主世帯)は、昭和58年…866万世帯(主世帯全体の25%)、平成5年…1000万世帯超え・平成20年…1820万世帯(同36.7%)で、平成15年時より179万世帯(10.9%)も増加しています。また75歳以上の世帯員がいる主世帯は933万世帯(主世帯の18.8%)になり、急速な高齢化が進んでいます。さらに高齢者単身世帯が414万世帯あり、高齢者世帯全体の22.7%で過去最高の比率です。高齢者のいる夫婦世帯が511万世帯(28.1%)で合わせて925万世帯(50.8%)にもなります。この為高齢者配慮の住宅設備がある住宅は2415万戸となっており、住宅全体の48.7%になっています。高齢者設備とは手すり・高齢者対応の浴室/トイレ/廊下等です。
これから賃貸住宅を造る際には若年層減少とその居住傾向をよく考える必要があります。また人口の多い高齢者の持ち家比率は高いのですが将来借家に移る可能性も充分予測されます。しかし今の賃貸住宅にはその備えは充分ではありません。これらの社会情勢の変化を考えると、今までのような安易な考えで業者に乗せられて賃貸住宅を建設することは大変危険です。特に昨今国の相続税増税による不安を駆り立て営業攻勢をかけている広告をよく見かけますので充分ご用心ください。入居保証・借上保証に安心しうかつに乗せられ嵌ってしまうと、税金対策で財産を守るつもりが後々入居がなく逆に財産を相続前に手放すことになりかねません。少子高齢化の中の住宅需要の変化を読み取り、将来に渡って入居不安のない賃貸住宅を熟慮して造らねばなりません。
平成20年住宅統計調査から分る賃貸住宅動向−その1 2011年2月25日(金)
総務省統計局の発表によれば平成22年10月1日現在における我が国の総住宅数は5759万戸・総世帯数は4997万世帯…平成15年からの増加数(率)を見ると、それぞれ370万戸(6.9%)・272万世帯(5.8%)となっている。昭和38年以前には総世帯数が総住宅数を上回っていたが、43年に逆転しその後も総住宅数は総世帯数を上回る増加を続けている。平成20年には総住宅数が総世帯数を761万戸上回り、1.15戸/世帯となっている。方や日本の総人口は1億2805万6026人でここ数年ほぼ横ばいです。人口が増えずに世帯数が増えているのは小家族化拡大の影響で、1世帯当たりの平均人数は2.56人となり、未婚化・長寿化で独身世帯・高齢者の単身世帯が増えていると推せられます。
総住宅数が総世帯数を上回る状況下で「居住世帯のない住宅」は799万戸で全体の13.9%にも及ぶ。このうち純粋に居住世帯のない空き家率は13.1%で、空き家数は昭和33年には36万戸でしたが平成20年には757万戸に膨れ上がっています。問題はその内訳なので「賃貸用の住宅」が413万戸・「売却用の住宅」が35万戸で、それぞれ空き家全体の54.5%・4.6%となっており供給可能な住宅が過半数にも上ることです。また住宅の建て方別では、一戸建が2745万戸住宅全体の55.3%となり、長屋建133万戸で2.7%、共同住宅2068万戸で41.7%、その他13万戸で0.3%です。昭和58年以降一戸建の増加率は住宅全体の増加率を下回り、共同住宅の増加率は一貫して上回っています。
昭和25年以前に建築された住宅では一戸建が92.8%・長屋建が4.2%と、殆どが一戸建・長屋建であり共同住宅はわずか2.6%でした。昭和26年以降は一戸建・長屋建の占有率が低下し共同住宅のそれが一貫し上昇を続けています。昭和56年〜平成2年では一戸建54.8%・長屋建1.7%・共同住宅43.1%、平成3年〜7年では50.0%・1.4%・48.4%、平成8〜12年では49.0%・1.4%・49.4%、平成13年〜15年では48.8%・1.7%・49.3%、平成16年〜20年9月では47.0%・2.1%・50.7%となり、平成16年以降に建築された住宅は共同住宅の割合が50%以上となっています。専用住宅の借家の規模は持ち家の半分以下ですが、年々少しずつ増え平成20年は平均45.07平米となっています。
さらに特筆すべきは、共同住宅建築の非木造化の拡大です。一戸建の木造は一戸建全体の92.6%なのですが、共同住宅では非木造が共同住宅全体の86.7%で全く逆転しています。昭和53年以降における住宅全体の割合では、木造は同年の81.7%以降低下し続け平成20年には58.9%となっている。一方非木造は昭和53年の18.3%から平成20年の41.1%まで一貫して上昇しています。これらのことから賃貸住宅が大量に余ってきていること(主因は量産メーカー・量産型タイプの乱造と思われる)、また木造の賃貸住宅が減ってきていると言うこと、また賃貸住宅の占有面積も少しずつ増えており、また居住世帯も新世帯(独身・高齢者中心世帯)時代になりつつあること等が分ってきます。
久里屋設計界隈散策−その7 香流川 2011年2月11日(金)
久里屋設計界隈散策−その6 明徳寺 2011年1月28日(金)
香流から見える山々−その5 中央アルプス・南アルプス 2011年1月14日(金)
木曽駒ケ岳は日本百名山/新日本百名山/花の百名山の一つで長野県上松町・木曽町・宮田村に跨る標高2956mの山で本岳・中岳・前岳の三つの総称、伊那谷と木曽谷に挟まれた南北約90kmの中央アルプス山脈の北端部にある最高峰です。木曾駒ケ岳山頂からは、御嶽山・乗鞍岳・穂高岳・八ヶ岳・南アルプスなどの360°のパノラマ眺望をみることができる。また北岳を最高峰とする南アルプスは長野県・山梨県・静岡県に跨がる3000m級の山々で赤石山脈とも呼ばれており、飛騨山脈・木曽山脈と共に総称して日本アルプスとも呼ばれています。
中央アルプスの主な山としては駒ケ岳2956m・宝剣岳2931m・桧尾岳2728m・空木岳2864m・南駒ケ岳2841m越百山2613m等がある。千畳敷カール・濃ガ池カールには高山植物のお花畑があり、山頂付近にはエーデルワイスの仲間のコマウスユキソウの駒ケ岳の固有種が自生している。また亜高山帯から高山帯にかけて、ニホンカモシカ・ノウサギ・キツネ・イワヒバリ等が生息している。日本百名山の一つですが昭和42年に伊那谷側から標高2613mの千畳敷までロープウエーが開通しており、誰でもが一気に高山帯へ登れる大衆的な山となっています。
南アルプスの主な山としては、西側稜線に仙丈ケ岳3033m・塩見岳3052m・荒川岳3141m・赤石岳3120m・聖岳3013m、東側稜線に北岳3193m・中白根山3055m・間ノ岳3189m・西農鳥岳3051m・農鳥岳3025m等が連なっている。諏訪湖を頂点とし、東では釜無川と富士川、西では天竜川に挟まれた山地です。南アルプスは新しく隆起した山であるため侵食があまり進んでいないので比較的なだらかな山容の山が多い。北岳・仙丈ケ岳・北荒川岳・三伏峠・中岳等に非常に大規模なお花畑があり、北岳の山頂直下には固有種のキタダケソウが自生しています。