建築高賃貸住宅事情
工事費高騰でまともな賃貸住宅建たず…一般地主さんが建てる賃貸激減
建築工事費が高騰して事業収支計画が悪化し銀行融資が付かなくなり家賃・つくりがまともな賃貸住宅の新築が激減しています。一昔前なら土地所有の地主さんが賃貸住宅を建てる時は銀行が融資に対応してくれました。一般的には建物融資だけですが銀行が融資に積極的な時には土地・建物両方とも融資してくれる時代もありました。しかし建築工事費高騰のせいで表面利回りが大幅低下したため今日では土地を所有している以外に資産を所有をしていなければ融資が付きません。 銀行が融資に慎重なのには訳があります。近年の投資ブームで投資賃貸住宅が異常供給され物件がだぶついていること、加えて人口減少・世帯数減少が進行し入居者実質所得が減少していること、表面利回りが5%を割るような数字では家賃下落・空室リスクを考慮すると実質利回りがマイナスになる可能性が高いことです。異常低金利で銀行自身が経営体力が弱くなっていますのでより焦げ付きの恐れが大きい事案には融資できないのが当然でしょう。賃貸経営がうまく行かなくなっても必ず返済してくれそうな相手しか融資しません。
でも建っている新築賃貸住宅もある…資産家/量産メーカー/投資不動産物件
低い表面利回りでも例外があり属性良い資産家による相続税対策のようなケースは銀行は融資してくれます…返済心配ない人には事業性悪くても融資すると言うスタンス。またハウスメーカー・アパートメーカー等が高騰した建築工事費でも融資の付く表面利回りに辻褄合わせをするため相場逸脱のびっくり家賃設定(借上保証付き)で新築賃貸住宅を建てているのでその分も新築供給されています。さすがにこのやり方はまともとは言えず一般の入居者には受け入れられず相当苦戦しているようです。賃貸住宅全体を見渡せば高騰建築工事費をものともせず新築賃貸住宅をつくり続けている世界もあります。それは投資ディべロッパー等がつくる投資目的賃貸住宅で主に大都市圏の駅近くに集中し建てられています。しかし入居ニーズある所と言えども度を越して似たような物件を量産した結果供給過剰となり満室にならぬ物件が目立ちます。その上そうでない地域(普通の地域)でもつくり始めています。しかし銀行が不動産投資への融資を警戒しているのでそれらの買い手に融資が付かなくなり怪しい状況です。
まともな賃貸住宅の新築供給がないとどうなる…良質一般賃貸住宅が不足してくる
分譲マンション・建売住宅・注文住宅が建築工事費と地価の高騰でたいへん高くなっています。住宅ローンを組んでも返せる見込みがないので庶民の手に届かなくなり持ち家を諦める人が最近増えています。今後は持家派の人が減り賃貸派の人が増える傾向が強まって行くと思われます。つくり過ぎ余ってきている窮屈な投資賃貸住宅やびっくり家賃の量産系賃貸住宅は確かに建っています。しかし一般庶民が求める家賃・つくり等に見合ったまともに住める良質一般賃貸住宅はあまり建てられていません。既存の良質賃貸物件も順次解体消滅して行きその分が市場で不足してきますので、お部屋探しの人にとって住み易く適正家賃のまともな良質一般賃貸住宅がある程度は新築供給されて行く必要があります。
今後不足してくるまともな賃貸住宅をどうつくるか…新時代へ発想の転換
まともな既存賃貸住宅(家賃・つくり共)も寿命があるので徐々に減って行きます。まともな物件の新築供給が少なければ今後は不足してくることになります。まともな賃貸住宅を銀行融資が難しい中でどうすればつくれるのでしょうか?以下の方法で良質一般賃貸住宅(家賃・住み易さの上で)を目指せば融資が付かず断念しているまともな賃貸住宅を実現する道が開けることになるかも知れません。
1.自己資金をある程度入れ借入金利回り(年間収入/借入金)を上げることで事業収支安全性を高める。
2.設計事務所に頼み工事は競争入札で決め工事費を抑制…表面利回り上昇し事業収支安全性が高まる。
3.RC造・S造の建築工事費高騰が大きく可能ならば比較的高騰の少ない木造に切り替えて計画する。
4.既存賃貸住宅を今のニーズに合わせリノベーションして再生させることで建築工事費を抑制する。 ※賃貸住宅を建てたいが銀行融資付かず断念した人、設計事務所に頼み
競争入札で建築費が下がれば融資可能となるかも知れません。
TEL.
052-773-4670