賃貸設計|賃貸住宅設計|賃貸マンション設計|賃貸建築相談|賃貸づくり相談

　1988年に賃貸マンションの設計監理を初めて手がけました。1981年に設計事務所を立上げ7年目のことです。それまで仕事を受けるときは必ず発注者(ユーザー)がいてそのご依頼の元設計監理をしてきました。しかし賃貸住宅は設計監理時に発注者はあれど肝心の住み手(ユーザー)が不在なのです。どう設計監理を進めてよいのかさて困りました。何も分からないので不在である住み手の代わりに賃貸住宅の話や入居者の要望等をお聞きするべく仲介業者・オーナーの方々に素直に意見をお聞きしました。

　初めて賃貸住宅の設計監理をしたときは直接住み手の声が聴けず手探り状態で作業を進めました。しかし入居者ニーズが地域・入居者層・時代によって異なるのが次第に分かってきました。仕事を重ねるほどその難しさに気付かされます。仲介業者・ベテランオーナーさんを通じて住み手である見えない入居者の気持ち・考えを知るよう努めてきました。そのせいかどうかは定かではありませんが、お蔭さまでこれまでつくってきた賃貸マンションの入居率が何れも安定し家賃もあまり下がっていません。

　これまでつくらして頂いた賃貸住宅のその後の入居状況をお聞きするためと建物の状態を確認するためときどき物件・仲介業者・オーナーさんのところへ立ち寄らさせて頂いています。有難いことに年数が経っても何れも入居率が安定していて家賃の下落もあまり起きていません。中には下落どころかこれまでの途中で家賃を上げている物件もあるので驚きです。入居者ニーズの根底は流行り廃りや目先の変わった設備でもなく住み手に取っての本当の住み易さ・使い易さにあるのだと確信・実感できます。

　こうして賃貸マンションの設計監理をこれまで積み重ねてきました。もう少しでRC造賃貸マンションが100棟余りに達しますが何れも安定入居率・安定家賃が持続しています。退去時期が悪かったり元々立地条件が悪かったりする物件は時として入居に苦戦することもありますが概ね安定して推移しています。賃貸住宅は最初の10年位が順調で以降だんだん入居率・家賃共に低下すると言う話はよく耳にしますが築10年・20年超えでも新築時家賃と変わらず埋まっているとの嬉しい話をよくお聞きしきます。