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ブログ−2010年

建築業界見晴台…「縮小続く建設市場規模」

2010-09-10
 2010年度の建設投資(名目値)は前年度に比べ3.5%減の40兆7000億円と14年連続で減少し、33年前の1977年当時の水準に落ち込むと言う見通しが今年国土交通省から発表されました。これは1992年のピーク時83兆9708億円と比べればなんとその48.5%(半分以下)の水準と言う訳ですからの驚愕の減少になります。内訳としては建設投資が前年度比3.9%増の24兆7100億円、土木投資は前年度比13%減の15兆9900億円となっています。これは民間建設投資が前年度比6.6%増の26兆9400億円とやや持ち直しの動きあるものの公共事業費の大幅な削減による政府建設投資が前年度比18.6%減の13兆7600億円と過去最大の下げ幅を記録する見込みの為です。なお国内総生産(GDP)に占める建設投資の割合は1.3ポイント減の8.6%と4年連続で10%を割り込むとの事です。
  総務省発表の「労働力調査」資料によれば1997年3月時点には建設業就業者数は689万人でしたが、今年2010年6月時点には487万人となり約200万人(30%)の減少となっています。これは1977年の496万人に並ぶ水準で33年ぶりの500万人割れとなってきています。これは新規採用者の抑制と現就業者の削減の諸刃の剣によって人数が減っている為だと思われます。しかしながら689万人いた時の1997年の頃の建設投資額が80兆円前後(1990年〜2002年)あったことから考えれば、もっと大幅な減少へ向かい340〜350万人位まで減らなければならないのではないでしょうか。これはさらに140万人前後の削減を目指さなければならないと言うことになります。もはや他の産業にも雇用吸収力はそれほどありませんので、これは大変深刻な社会問題となって行くことでしょう。
 確かに最近入ってくる建築設計業界の情報では、仕事があまりないので給料が払えず大幅な賃金ダウン・職員の人員削減や解雇がかなり行われているように聞き及んでいます。そして借りている貸事務所の家賃すら払えず、やむなく借りているオフィスを引き払って自宅の一室へと事務所を移転することを余儀なくせざるを得なくなってしまった建築設計事務所が多いとも聞いています。また、もはやこれまでと事業を断念し廃業に至った建築設計事務所もあるようです。さらに下請けの各専門工事業の事業所も仕事が少ない上安値受注が常態化し、体力のなくなったところから消滅が進んでいるようです。しかし工事請負を担っている建設会社・工務店の総数はさほど減ってはおらず、国土交通省の調査結果によれば建設業許可業者数は2000年3月ピーク時の約61万5千社から、今年2010年3月には14.6%減の約51万社にまでしか未だ減少していません。
 今、建築業界を取り巻く環境は依然厳しいままです。2〜3年前まで世界中で起きていた資源インフレは鳴りを潜め、今は静かにしていますがこの先はどうなるのか判りませんので、鉄や他の資源の値段が今は比較的落ち着いていますがこの先は読めません。また建築の仕事量が激減してしまっている為厳しい受注競争の中で採算の取れない安値受注が続いています。始まってしまった建築設計事務所・下請け業者の減少だけでなく、いずれ工事請負業者である建設会社・工務店もはっきりとした減少傾向が表面化してくることでしょう。しかし、ここでこれから一番問題になってくるのは建築設計事務所や建設会社・工務店が淘汰されることよりも下請け業者とその職人さんたちが減って行ってしまうことです。設計図を書いても工事を請け負っても職人さんたちがいなくなっては建物は建たないのです。職人さんたちが減ることが将来価格決定の上で大きな攪乱要因になるでしょう。

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