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ブログ−2010年

名古屋市中高層建築物条例の25平米以下1K/1R乱造への影響

2010-05-07
名古屋市役所東庁舎
名古屋市役所東庁舎
 大体の市町村には一定規模以上の中高層建築物の建築に際して、市町村制定の指導要綱や条例が定められています。これは中高層建築物が建築される場合、建築後の地域住民とのトラブルを未然に防ぐと言う意味で大きな役割を担っていると考えられます。名古屋市においても早くから中高層建築物指導要綱が制定され平成11年にはこれが条例に昇格しています。当社も長年名古屋市内で共同住宅を計画したり実際に建てたりしてきましたが、共同住宅の計画の際用途地域別に駐車台数の付置義務の割合が課せられている条文については、正直なところ以前より疑問を感じ続けています。その住戸数に対する必要駐車場台数の割合は以下に示す通りです。

  〇第1種低層住居専用地域又は第2種低層住居専用地域      7/10
  〇第1種中高層住居専用地域又はだ2種中高層住居専用地域    6/10
  〇第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、
   準工業地域又は用途地域の指定のない区域          5/10
  〇近隣商業地域                       4/10 
  〇商業地域                         3/10
   ※上記に記する割合はワンルーム形式住戸については1/2に緩和する。
    ただしワンルーム形式住戸とは住戸床面積が25平米以下のものを言う。

 名古屋圏の名古屋市以外の市町村では住戸数に対しての駐車場の付置義務は殆どが100%です。一般的に賃貸住宅経営では採算性を高める為に戸数を多く取ろうとします。しかし名古屋市内では郊外と比べ所有地の面積が比較的小さく駐車台数が確保しづらい為、都市交通の整備を踏まえ上記の様に駐車場付置義務台数を用途地域に応じ30%〜70%と定め住戸数を取り易く配慮してあると言うのが背景なのでしょう。これは人口確保の為の施策として或る程度は理解できるものです。
 しかしここで問題にしているのは特例措置として認められているワンルーム形式住戸が25平米以下と定めてある部分なのです。実はこのことが名古屋圏で25平米以下のワンルーム住戸が過剰に造られたことの一因と思えるからです。これまで聞き及んだ業者側の提案はどこへ行っても戸数を多く取る為に25平米以下のワンルーム住戸にして駐車台数を減らそうと言う話ばかりでした(これは戸数を増やし工事金額を単に拡大しようと言う業者側の金儲けの都合が主)。オーナー様自身も欲張りまんまとそんな話に乗ってしまい、名古屋市内で25平米以下のワンルーム住戸が乱造され続けてきました。それが郊外へも影響を及ぼして来ただろうと言うことは容易に推察されます。
 しかし或る程度の居住性を満たそうと思うとワンルーム住戸については今や30平米位の面積は必要です。東京圏のように土地が狭く人口密度も家賃も高いところでは20平米前後の狭小ワンルーム住戸(三点式ユニットバスタイプ)ですら入り手はいるでしょうが、名古屋圏ではそんなものは以前より入居者から見向きもされません。その結果埋まらなくなってしまった25平米以下のワンルーム住戸が増えてきています。名古屋市がワンルーム形式住戸を25平米以下と決めたのは、不正に広めのワンルーム住戸を造り建築完了検査後非ワンルーム住戸に改造されるのを防ぐ為と思われます。それは逆に駐車台数が少ないことが仇となり結局入居者が入らず失敗するのですから、そんな不正で馬鹿な不良物件は放っておけば良かったのです。即ち市場原理に委ねれば不正は自然淘汰されてしまうのです。
 東京圏のように公共交通が縦横無尽に発達していて道路渋滞が常態化している地域では自動車の依存度はそんなに高くないでしょう。しかし名古屋圏は公共交通の整備も東京圏に比べればそんなに充実していません。自動車の依存度が高い上また自動車の保有率も高く、その上道路も他地域に比べればよく整備された地域です。名古屋市内でもこの傾向は同じで共同住宅の付帯駐車台数は多ければ多いほど入居者が決まり易いと言うのが実状です。都心型の物件はともかく都心以外の地域ではワンルーム住戸でも駐車台数は或る程度の確保を要します。ましてファミリー住戸については鉄道駅の近くでも100%に近い駐車台数が欲しいくらいの地域なのです。名古屋市の条例は決して責任を取ってくれませんので駐車台数の不足による入居率の低下はあくまで自己責任なのです。

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