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ブログ−2010年

建築業界見晴台…「建築工事費が底割れか?」

2010-04-09
 最近賃貸マンションの見積りを競争入札スタイルで取りましたところ判ってきたことですが、どうやら建築工事費が底割れの様相を呈してきているようです。記憶の範囲内で建築工事費が最も安かったのは6年前(2004年)の頃ではなかったかと思いますが、その時の建築工事費よりさらに安くなってきているようです。デフレ価格は一般消費財だけではなくとうとう建築工事にも及んできたようです。
 しばらく前から、BRICsを中心とする新興工業国の急激な発展と行き場をなくした膨大な余剰マネーにより世界中の資源が高騰し、資源インフレが起こってきました。原油・鉄・非鉄金属・希少金属から食料品にいたるまで、あらゆるものが大なり小なり影響を受けました。一方日本国内においても資源インフレの上に投資ファンドマネーの膨張がそれに拍車をかけました。その結果建築工事費がその後見る見る内に高くなり、一番安い時よりも約2〜3割も建築工事費が上がってしまいました。
 ところが2007年夏にアメリカでサブプライムローン問題が露呈し、2008年9月リーマン・ブラザーズの破綻が引き金となり世界中で金融商品・金融機関の信用収縮が起き、世界同時金融危機のような状態に陥りました。その結果日本国内の建築工事の仕事も激減してしまい、建築工事費も下落へと転じ始めました。もともと2007年6月20日に(姉歯事件が引き金となった)建築基準法の改正が施行されてから建築確認申請の手続きが複雑化しかつ許可が大幅に遅れ、その影響が建築主・建築事業者共に大変な打撃となり官製不況とまで言われていたところでした。そこへこのサブプライムローン問題は、建築業界の不況に止めを刺したようなものでした。
 官庁工事・民間工事共に仕事量の激減で限度を超えた建築単価の下落が起きてしまっています。現時点では多分6年前の頃の底値よりさらに1割ほどは下がっているようです。言い換えればサブプライムローン問題発生前の高かった建築工事費より、約3割は建築工事費が下がっているのではないかと思われます。(戸建住宅の方はそこまで仕事量が減っている訳ではありませんので、一般建築ほど建築工事費が下がってはいないようです)
 いよいよ建築業界も本格的な淘汰が始まったようで、昨年来建築業者の廃業・倒産・人員整理が急速に拡がりつつあります。建築工事費の大幅な下落は需要と供給の極端なアンバランスにより生じている訳ですから、業者数・労働者数が減っていけば値段は次第に正常化して行くと察せられます。また足元では新興工業国の元気が再び戻りつつあり原油・鋼材等の値段が再び増勢に転じてきました。これらの情勢から判断してこの安さはそういつまでも続くことではないでしょう。
 建築工事費は賃貸住宅事業の成否の重要な要素の一つですから、地主様にとって安く工事ができ事業収支を良くするまたとないチャンスです。しかし、この安さは限度を超えたものですからそう長く続いたり再びやって来るとも思えませんので、いずれ賃貸住宅を建てようと思われている方は千載一遇の時期ではないかと思います。しかし経営難の建築業者がたくさんあり工事中の倒産が頻発していますので、業者選びについては極めて慎重にしなくてはなりません。

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