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賃貸住宅利回りとは

賃貸住宅利回りとは…約束・保証の類に非ず

 賃貸住宅利回りとは何か?賃貸住宅利回りとは初期投資額に対する収益額の割合を%で表したもの…即ち賃貸住宅利回りが貸家・アパート・賃貸マンション事業の収益性のバロメーターとなっています。賃貸住宅利回り計算の初期投資額とは新築賃貸住宅の場合は建築工事費・諸経費・消費税等一切の費用総額、中古賃貸住宅の場合は購入時にかかる一切の費用総額です…収益額とは家賃・共益費・駐車場料金等収入一切の総額。貯金で言えばお金を貯金したとき利息がいくらあるのかと同じ意味合いです。
 賃貸住宅利回りには表面利回り実質利回りがあります。前述にあるのは表面利回りの説明で諸々の経費を引く前の一年間の収入に対する利回りです。しかしこのお金がそっくり残る訳ではありません。そこから固定資産税・都市計画税・仲介手数料・管理費・火災保険料・維持修繕費などの経費を払います。減価償却計算をして税金を払います。借入金があれば利息(経費)・元金(非経費)を返済します。これらの費用を引いて一体いくら手元に残るのか?この残った金額に対する利回りが実質利回りです。
 預貯金金利の利回りと違い賃貸住宅の表面利回りはあくまで目安で決して約束されている訳ではありません。ここのところを勘違いしている人が随分多いような気がします。預貯金金利は分離課税で2割税金を引かれ利息の80%が正味の実質収入です。ところが賃貸住宅は家賃等収益から必要経費・返済金を引いた残りが実質収入ですので、表面利回りが5~6%以下の場合でかつ殆ど借入金(30年)でする場合は必要経費・返済金を引くと実質利回りはそこから低下し0~マイナス利回り(即ち赤字)となります。
 また当初の家賃がどんどん下がったり入居率が低迷すれば表面利回りが下がり連れて実質利回りも低下します…異常金利正常化時には実質利回りに直撃し大幅低下します。概して投資賃貸住宅は無理な家賃設定で如何にも儲かると言う表面利回りをPRしているので最初から設定家賃が大きく下がる可能性が高いのです家賃を世間相場まで下げ入居者が埋まればまだよい方で、供給過剰地域にあり住まいの本質的魅力に欠ける物件は新築で家賃を下げても入居者が入らぬと言う生き地獄が待ち構えています。

表面利回りだけの判断は危険…実際手元に残るのはいくらか?

 巷で宣伝広告されている投資不動産は表面利回りが何%であると表示されています。この数字の持つ意味が分かっていないと大変な目に会わされます。実際に全額自己資金でやったとしても表面利回り-2%くらいが実質利回り、仮に殆ど借入金(期間約30年)でやった場合には表面利回り-6%くらいが実質利回りになります。5~6%くらいの表面利回りであれば全額自己資金なら預金をするよりましだと言えますが、殆ど借入金依存なら何も残らぬどころか自己資金の持ち出しをし大損をさせられるのです。
 投資用不動産事業者(ディベロッパー・不動産屋・個人投資家・建設会社など)が企画し売りに出しているものはそれらの事業者がしっかり利益を上乗せして売るのが当然なので、ある意味では利益を吸われた後の食べかすを買わされることになる訳で最初からリスクの高い買い物をすることになります。投資家に買わせるために高すぎる無理な家賃設定をした事業計画が横行しているのはなるほど頷けます。冷静に考えれば詐欺同然だと思える事業者が蔓延しときには事件となり新聞に載ることもあります。
 また中古不動産物件が高い表面利回りで出回っていますがこれらを購入するのも用心しなくてはなりません。古いものは減価償却額が小さくなりその分税金が増えることになります。さらに質の悪いものを買うと維持修繕費がびっくりするほど多くかかります。中古で売りに出されているものは大抵それなりの理由で市場に出ているものです。優良物件が出ていることもありますが普通に考えれば何かいわくがあると思った方がよさそうです。しまったと思ってからでは手遅れなので慎重な検討が必要です。
 新築にせよ中古にせよ表面利回りとはあくまで設定家賃で満室状態として計算されています。また最近の新築投資不動産の設定家賃は相場より無理やり1~2万円上げて計算されていることが多いので結果家賃が大きく下がり、その上住まいとしての本質的魅力がないものが目立つので将来入居率も悪くなる可能性が高いのです…当初利回りは絵に描いた餅となります。さらに自己資金がないのに借入金依存で手を出した人は今の異常超低金利が正常化し金利上昇してくれば忽ち返済に窮することになります。

最近の当社物件表面利回りの推移…約7~9%位

 事業の健全性・安全性を検証する方法の一つに事業の表面利回りがあります。表面利回りとは年間総収入(満室の場合の収入)÷初期投資金額(建築工事費・設計監理費・消費税・不動産取得税・登記費用・10年分火災保険料・その他必要諸経費)のことです。最近の当社実例の表面利回りを見ると名古屋市内で約7%~9%位、郊外はこれより少し低下します。名古屋市内でも家賃が高く戸数の取れる場合は表面利回りが10%位まで上がります。逆に建設地の支持地盤が悪く杭・基礎工事に費用がかかったり、狭小土地で建築工事費が割高になったり、敷地に高低差があったり戸数が少なくスケールデメリットがあったりすると表面利回りは悪くなります。また既存建物の解体工事費用・立退き費用・電波障害解決費用等が出たりすると表面利回りは低下します。表面利回りに幅が出るのはそう言う理由があるからです。

最近聞く他社の表面利回り…5%前後以下

 複数の銀行でお聞きする他社が持ってくるRC造賃貸マンション事案は表面利回りが約5%前後以下が圧倒的に多いそうです。ハウスメーカー・アパートメーカー・マンション建設業者がメインだそうですが、設計施工一括受注スタイルの業者は大同小異だそうです。また設計施工一括受注スタイルなのにこの表面利回りよりよい場合は特に油断禁物です。たまに他社の事業計画書を見せてもらう機会があるのですが建築工事費を安く見せかけるために本来建築工事費に入る杭打ち工事費・外構工事費などを諸経費に入れたり、当然発生する諸経費(不動産取得税・固定資産税・管理費・業務委託費など)を計上してないとか金額を意図的に下げてあったり、相場逸脱の高過ぎる無理な家賃設定であったりするときがあります。こんなことがまかり通るとは恐ろしい社会です。やはり真実を見極める目が必要なのです。

表面利回り(事業計画書)のねつ造に注意

 表面利回りでチェックすると言ってもその事業計画書の信頼性の有無が極めて重要です。表面利回りをよくするのは簡単なことで…家賃を相場より吊り上げる,建築工事費から本来かかる費用を最初の事業計画書では隠す,建築工事費意外にかかる費用を最初の事業計画書には入れない,平面図だけでは読み取れない居住性の部分で質を落としてコスト削減を図る,素人の建築主に分からぬ部分で仕様・グレードを下げてコスト削減を図る…と言ったところがその主な手口です。長年賃貸住宅建築で仕事をしているとこれらの方法が駆使されて見事に引っかかっている人がなんと多いのに呆れますちょっと自分で調べるか詳しい人に相談すれば分かってしまうことばかりなので未然に防げると思うのですが本当にお気の毒な話です。業者の出す事業計画書を真に受けると怖い目に会うことが多く要注意です。

表面利回りと実質利回りの違い

 表面利回りとは見込み家賃で満室状態で計算した年間総収入を分子にし初期投資額を分母にして割り算し計算します。しかし現実には経費が必要です。固定資産税・都市計画税・管理費・業務代行費・募集費用・維持修繕費・火災保険料・税金等が必要でこれらを払わなくてはなりません。さらに借入金がある場合は利息・元金の返済があります。これら一切の費用を引いて残った金額を初期投資額で割ったものが実質利回りとなります。しかしあまり物件に魅力がなければ家賃低下・空室拡大せざるを得なくなり収入自体の実額も減ってきます。結局実質利回りが表面利回りより大きく低下することになってしまいます。またハウスメーカー・アパートメーカー・マンション建設業者が仕事を受注するために(融資を取り付けるために)作為的に家賃を吊り上げ表面利回りをよく見せている場合、実際の入居者募集のときには相場家賃に大きく下げざるを得なくなるので実質利回りとのギャップは随分大きくなります。

表面利回りだけで成否は決まらない

 表面利回りはあくまで事業牲の優劣を計る一つのバロメーターです。この数値がよいからと言って油断してはいけません。この数値を上げるため相場逸脱の家賃設定をしたり無理に戸数を増やすため住戸自体住みにくいプランをつくったりする業者もいます。ひどい業者は本来必要とされる費用を最初の事業計画書に入れず初期事業費をごまかす方法で受注している例も多々あります。契約してしまえば後は野となれ山となれと言うやり方です。賃貸住宅経営の経験・知識の少ない人はこれで結構引っかかっています。完成してかかった費用を集計してみると最初に聞いた事業費よりかなり膨らんでしまっているのに気付きますが後の祭りです。事業計画で一番肝心なのは長期間適正な家賃で入ってもらえる住戸自体の住み易さ・魅力が備わっているのかなのですその上での利回りが良いか悪いかの話なのです。

中古マンション購入時の利回りに注意

 異常超低金利でまたよい資産運用先もないので中古賃貸住宅(マンション・アパート)を購入し資産運用するのが流行っています。今新築賃貸住宅の建築工事費が高騰している状態(特に鉄筋コンクリート造・重量鉄骨造)が続いておりなかなか採算の合うような計画ができません。そこで新築がダメなら中古物件で回そうかと考えている人がとても多いからです。もともと築年数が経過して資産価値が下がっていますから建物自体が安く買えますので新築賃貸住宅と比べれば当然表面利回りが上がります。しかし以下のことを理解した上で“取らぬ狸の皮算用”にならぬよう慎重に行動しなくては行けません
 
 ○躯体はともかく住宅設備機器には一定の寿命があり取替えに費用が掛かる。
 ○新築と違って経年劣化による思わぬ維持修繕費がかかってくる確率が高い。
 ○古くなってくると家賃大幅低下・空室率拡大の可能性が高まるものが多い。
 ○建物自体の大規模修繕の時期に当ってしまい多額の出費を避けて通れない。
 ○あまり古いものは時代の流れについて行けずなかなか入居してもらえない。
 ○次の買い手がなければ最終的に解体工事費用を自身でプールする必要あり。
 ○そもそも良い物件であれば前の所有者が手放すのは何かおかしいと思える。
 
 これらを一つ一つじっくり考えると業者が言っている購入時の表面利回りどおりに行くのかどうか疑わしいと思うのが普通の人です。またこれは長年やっている不動産仲介業者の人達とも昔から共通する意見なのですが“賃貸市場では賃貸住宅が供給過剰と言われ続けて久しいのですがこれはと言う良質の賃貸住宅物件は一割もない”と言うのが本当の実状なのです。そんなプアーな賃貸住宅市場の中から優れた中古賃貸住宅の売り物件を捜し出すのはなかなか容易なことではありません。儲かるよい物件がごろごろ中古市場にある筈もないのです。よい中古物件を見つけるのはそんな簡単なことではないのです。

銀行の本音のつぶやき

 どこの銀行も賃貸住宅建築事業で5%内外以下の表面利回りでは危険過ぎて融資できないと明言します。ただし属性のよいお客様(返済に困らない資産家)については例外扱いとして融資をしているようです。銀行が5%内外以下の表面利回りでは事業牲が悪く極めて危険とはっきり認識している証です。ここから必要経費を引いてさらに利息・元金を返せば限りなく表面利回りが0%近くに低下します。そこへ空室が拡大・長期化すればたちどころに自己資金で返済の穴埋めをせざるを得なくなる訳です。資産家は何とか他から工面し返済できますがそうでない人は行詰まり破綻することがはっきりとしているからです。資産家だけには融通すると言うのはあまり愉快ではありませんが銀行自体も異常超低金利の上優良貸出先があまりないと言うダブルピンチに立たされているので致し方ないことかも知れません。

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    昭和56年創業

 

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